河川域周辺に生息する生物の種類は、河川の水質を判断する材料になります。例えばサワガニはきれいな水に生息し、イトミミズは大変汚い水に住むといった具合です。「この生物が居るということはこの河川の水質は〇〇だ。」というように河川水質の判断材料として有効な生物を水質指標生物といいます。
指標生物と水質の関係を問う問題は過去に公害防止管理者「水質」の水質概論で出題されていますので、是非ご覧ください。なお本記事では指標生物のイラストを用いています。虫の絵が苦手な方は抵抗を感じるかもしれません。あらかじめご了承ください。
水質階級ごとの指標生物一覧(簡易)
まずは水質階級ごとの指標生物を一覧にします。対象の水質階級を主な生息環境とする生物を太字で示し、サブの環境とする生物は普通に記載します。また、詳しい説明は後述します。
きれいな水(貧腐水性)
ウズムシ類、サワガニ、ブユ類、カワゲラ類、ヘビトンボ類、トビケラ類、カゲロウ類、ヒラタドロムシ
少し汚れた水(β-中腐水性)
ヘビトンボ類、トビケラ類、カゲロウ類、ヒラタドロムシ、サホコカゲロウ、ヒル類、ミズムシ類
※ナガレトビケラ、ヤマトビケラ、ヒラタカゲロウを除く。
汚い水(α-中腐水性)
サホコカゲロウ、ヒル類、ミズムシ、サカマキガイ、セスジユスリカ、イトミミズ類
大変汚い水(強腐水性)
サカマキガイ、セスジユスリカ、イトミミズ類
水質階級とは
水質階級は以下の4段階で表されます1)。
- きれいな水(貧腐水性)
- 少し汚れた水(β-中腐水性)
- 汚い水(α-中腐水性)
- 大変汚い水(強腐水性)
それぞれの階級によって生息する生物が異なります。ただし階級と生息する生物はきっちりと分かれているわけではなく、目安としての意味合いが強いです。また、複数の階級に生息可能な指標生物も存在します。
階級のイメージは以下の通りです。
貧腐水性:河川の上流域。山や森に囲まれた水辺のイメージ
中腐水性:河川の中流域。街から比較的近い河川敷や水田近くの水路のイメージ
強腐水性:生活排水が混在した川
水質階級ごとの指標生物一覧(イラスト、解説付き)
指標生物について詳しく紹介していきます。公害防止管理者「水質」の問題対策を目的とするのであれば、正直丸暗記はしなくていいと思います。特に貧腐水性は対象となる生物の種類が多いので、中腐水性、強腐水性だけ覚えてあとは消去法というやり方もありだと思います。また、フルネームで覚えなくても、例えばセスジユスリカは「『セ』から始まるやつ」で十分です。私は読み間違いでずっと「センジュリカ」と言ってました。
きれいな水(貧腐水性)

ウズムシはプラナリアとも呼ばれます。刃物などで切断すると切れ端から頭や尻尾が生えてきて再生します。人によっては生物の授業で扱ったことがあるかもしれません。
サワガニやブユはキャンプ場のような自然豊かな山の水辺に生息するイメージです。カワゲラやヘビトンボも、人の手があまり加えられていないような河川域でみられます。
トビケラ類、カゲロウ類は主に貧腐水性とβ-中腐水性に生息しますが、ナガレトビケラ類、ヤマトビケラ類、ヒラタカゲロウ類は貧腐水性のみに住んでいます。
少し汚れた水(β-中腐水性)

β-中腐水性水域にはヒラタドロムシが生息します。名前に「平田」がつく生物はヒラタカゲロウとヒラタドロムシです。「泥」の汚れたイメージ通り、ヒラタドロムシの方がワンランク汚れた環境を好みます。
汚い水(α-中腐水性)

サホコカゲロウはカゲロウ類の中では例外的に汚い水を好みます。オレンジ色の目が特徴的です。
ヒルは水田の横を流れる溝のような、富養化した土壌が堆積するような環境で確認できます。サカマキガイは見た目がタニシに似た、別の生物です。ミズムシは足に感染するイメージがありますが、これも別物です。
大変汚い水(強腐水性)

強腐水性は家庭からの生活排水が混在するようなかなり汚い環境です。今では生活排水を含む河川には落下防止のためフタをされていることが多いですが、2000年代にはむき出しの川を覗くとイトミミズがウヨウヨ踊っている様子を見ることができました。
サカマキガイやセスジユスリカも強腐水性水域に生息します。この階級は対象となる生物が3種類のみですので、優先的に覚えたいところです。
まとめ
水質指標生物と水質階級についてまとめました。
実は私が試験を受けた年にこの手の問題が出題され、不正解だったことを覚えています。ヒラタドロムシが選択肢にありましたが全く頭に入っておらず、「…平田って誰だよ…。」と思いながら勘で選択肢を選びました。ミズムシもですね。汚い印象が先行して、試験時は強腐水性か中腐水性か分かりませんでした(正解はα-中腐水性)。そのため本記事は復習や自戒の意味を兼ねて作成したフシもあります。
少しでもわかりやすくなるよう、イラストやイメージを加えることを意識しながら作成しました。参考になれば幸いです。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
参考文献
日本自然保護協会「指標生物」平凡社(1994)



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